あなたが外国人でも今いる場所に住み続けたいと思った場合、永住権というものがある。あなたは永住権を取得したことがあるだろうか。今日は永住権についての話をしよう。取得したことがなければ、どうでもいい話だろうから、ぜひ暇つぶしに楽しんでほしい。今日のテーマはその権利を維持するお金と労力、更新についてだ。
アメリカの永住権
人生長く生きているとアメリカの永住権を取得したという経験値を持っていたりする。申請は2018年7月頃から手続きを初めて、手元に届いたのは2020年9月頃だった。Covid19パンデミック真っ盛りの頃の話である。手続きに要した期間は先の通り2年ちょっとだが、経費はおそらく3000ドルくらいだろうか。覚えていない。
アメリカの永住権を証明するカードは有名だがグリーンカードという。このカードは2025年現在10年更新らしい。オンライン申請で415ドルかかる。別にカードを更新しなかったからといってあなたの永住権は奪われたりしないが、身分証明や入国時に問題となる。身分証の代名詞といえば運転免許証だが、運転免許証を申請するときも、合法滞在資格を確認するためにグリーンカードを出さなければならないし、あなたの運転免許証の有効期限がグリーンカードよりも長くなるなんてことはない。つまり、パスポートだけでいいです、なんて人を除いてグリーンカードを更新しなければ生活に支障が出る。
日本の永住権
日本の永住権を取ることは現状考えていないが、外国の国籍を取得したら考えることになるだろう。2025年現在申請費用は8000円らしいが、いろいろな書類の準備手続に10〜15万かかるのが相場だそうだ。もちろんこれも権利なので無くなることはないが、権利を証明するカードは7年で切れる。更新費用は無料だ。なんてことだ。素晴らしい国だ。
ドイツの永住権
ヨーロッパの国は他の国とちょっと違う。EU自体にも永住権があるからだ。そしてその国自体にも永住権がある。2025年現在、ドイツ国内の永住許可はNiederlassungserlaubnisと言い、EU長期居住許可をErlaubnis zum Daueraufenthalt-EUと言う。申請は€113程度で権利はなくならないが、パスポートを更新するときに、情報の更新手続きが必要で最大€67とのこと。つまり10年に1度の更新になる。
Daueraufenthalts-EUの申請は、ベルリン€56.50、ミュンヘン€109とばらばらだった。更新はNiderlassungserlaubnisと同様、パスポートを更新するとき情報の更新手続き€67がかかる。つまり10年に1度ということだ。それにしても、EU版のほうがやや安いとは驚きだ。とは言えほぼ同じ値段。あなたならどっちをとる?考えてみてくれ。
イタリアの永住権
イタリアも調べてみた。国内版永住許可は、Permesso di soggiorno UE per soggiornanti di lungo periodoと言う。2025年現在€100程度で申請できるが、カードは5年または10年ごとに更新が必要で€70〜100とのこと。
EU版永住許可は、Permesso di soggiorno UE per soggiornanti di lungo periodo – valido per l’Unione Europeaだ。これも費用、更新ルール等同じ様だ。つまり、どっちを取るかはあなたの自由だ。さぁ、どっちを取る?
オーストリアの永住権
さぁ、ドイツ、イタリアと調べてきたのには理由がある。オーストリアがかなりイカれているからだ。2025年時点では、国内版永住権の名前はNiederlassungsbewilligungという。少し前まで申請費用が€107程度だったが、€277になった。ちなみに家族がEU市民という場合は€160で、これは、その家族との関係がなくなった場合、切り替えなければいけない。つまり€277払わなければならなくなる。
さて、国内版永住権の話だ。いくらだと思う?EU版と同じ€277だ。大幅に国内版永住権が値上がりしたのは、おそらくEU版永住権を€277に設定したからだろうと私はにらんでいる。権利は一生だが、5年毎のカード更新が必要であり、そのカード更新費用がこのブログのパンチラインだ。€277だ。5年毎に、あなたは€277払う。しかしきっと値上がりするだろう。5年毎にその値上がりした金額を払っていかなければ、再入国時に面倒なことになる。
EU永住権って何なん?
みなさん、現地版にするか、EU版にするか心は決まっただろうか?私だったらEU版にする。しかし、私はあることに気づいた。EU永住権という名前ほどおかしな名前はない。EUに永住できないのだ。永住できるのは申請した国だけだ。でも永遠に続く権利があるのだ、それは何か。労働だ。EU永遠労働権なのだ。オーストリアで申請した永住権でイタリアで仕事探しができる。でもイタリアでの居住が始まったら居住許可を取りに行かないといけないし、ずっと住みたいならまた永住許可の手続きを別途するという流れになるのだ。あなたが会社員をずっと続けるならEU永遠労働権は役に立つだろう。仕事探しするときに、会社はあなたをスポンサーしなくてもいいからだ。でもあなたが自営業者ならどうだろう。その国に住むためには居住手続きをし、その延長線上に納税手続き等を行うわけだから、このEU永遠労働権に、享受できるメリットはさしてない。
実はオーストリアの家族永住権を申請中の私にとって、EU永住権はスポンサーなしでの居住が認められる魅惑的なカードだったのだが、調べれば調べるほどメリットがなく、さらに他国と比べて破格な更新料を5年毎に取られ続けるという制度の現実を知り、すっかり興味が失せた。実は、オーストリアの永住権にはドイツ語の語学力は求められないのだが、EU永遠労働権には語学力が求められる。そのためにB1レベルの資格試験まで受けようと思っていたがこれも€200程度する高額なものなのだ。今後万一のことがあったらと考えるとB1資格を持っておいていつでも申請できるようにしておくべきなのではと考えたこともあったのだが、自営業者でい続ける限り、とことん不要なものであることに気づき私のやる気は目下だだ下がりである。というわけで、5年毎に請求される€277のカード更新料という1つ目のパンチ、そして、実は永住権じゃなくて永遠労働権だという本命パンチの二本でお届けしました。さようなら。どう思った?
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